しるの読書記録

読んだ本をただただ記録する

有名企業からの脱出

典型的な日本的企業の問題点について指摘し、会社にしがみつかず自分なりの幸せを見つけようという感じの本。 自分にはあまり刺さらなかったが、与党野党の話については、ちょうど同僚と似たような話をしていたので面白かった。

  • 人には「与党型」と「野党型」が存在する
  • 「野党型」の典型例は
    • すぐに誰かや何かの責任にしようとする
    • 夢見がちなユートピアばかり語る
    • 何でもかんでも白黒はっきりつけようと言い張る
  • 「与党型」のリアリズムは
    • オーナという意識を持ち
    • 最終的に妥協点を見出す
    • 不都合な真実も受け入れないといけない
    • じっくり利害調整する暇はなく、迅速果敢な決断が必要

戦略参謀 経営プロフェッショナルの教科書

戦略参謀

戦略参謀

新たに経営企画室に配属された主人公がコンサルタントのアドバイスを受けながら、会社を立て直していくビジネス小説。 会社の文化を作ることと、PDCAを回すことの大切さが書かれている。

  • 組織論は分業のための方法論
  • 主要担当業務の範囲を明示することが組織のはじまり
  • 企画とは、目的を明確にし、現状を把握したうえで、目標達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組み立てる一連の動作
  • 皆が智慧を使って進める経費低減活動は、基本的には会社の文化にすべき
  • 人事制度を健全に運営するためには、上長によるマネジメントが極めて重要

問題解決の思考ステップ

  1. 現状把握
  2. 真因の追求(問題発見、問題提議)
  3. 解の方向性
  4. 具体策の比較検討
  5. 実行計画の明示

経費の三分類

  • 使ったことによる効果を知るべき経費
  • 減らしてはいけない経費
  • 例外的な『ポリシーコスト』
    • 直近の効能を説明できないが、責任者の意思や勘として、未来のことを考えて使っておきたい経費

気に入ったところ

本来重要なのは、失敗を称賛する文化づくりだ。失敗することがいいわけじゃない。
失敗から多くのことを学べるという事実を会社が受け入れるということだ。
それを規模が大きくなってもちゃんとやり続けるようにしないといけないということだ。
経営というのは、正しい企業文化づくりでもある。
筋の通った資料を作成するためには、書き方の作法の訓練が必要なのだが、
そういう能力は、ちゃんと訓練する者がいてはじめて、社内で鍛えられる。
略
マネジメント層がちゃんと部下に、『こう書くんだ』という常識を教えていく文化をつくらなければいけない
そもそも号令をかけると、使う経費が減るなんて、おかしいと思わないか?
本当にそれで下がるなら、単にマネジメントが会社の管理レベルが甘いままで放置していたという話だろ?
そこで、経費が下がるというのは、効能があいまいな、使わなくてもいい経費を使うのをやめたか、
『来期に回しておけ』などと先延ばしにしたか、あるいは、本来必要な経費を削減したなんて言うことだろう。
だいたい、悪循環にはまるパターンというのは、押し付けられた高い売上と利益計画があって、それが達成されずに経費が締め付けられる。
それによって様々な社内の業務が崩れはじめて、現場がおかしくなりはじめる。
それが毎年毎年繰り返され、本来打つべき中長期的な打ちてがすべて先送りになっていく。
人は弱さを持っている、誰だってそうさ。うまく戒めていかないと、エネルギー、つまり欲望の強い人ほど暴走してしまうものだ。
これを上手に制御すること、これが人事制度運用の基本にすべき思想だ

地図と愉しむ東京歴史散歩 地下の秘密篇

地図とカラー写真で普段あまり意識しない東京の歴史を解説している。 地下鉄の断面図を見ると、乗っているときには気づかない高低差が分かる。

第一章「深すぎる地下鉄、浅すぎる地下鉄」と第四章「団地の土地を読み解く」が面白かった。

金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント

『金持ち父さん』シリーズの2作目。 従業員(E)・自営業者(S)・ビジネスオーナー(B)・投資家(I)の4つの生き方の違いや価値観の違いについて解説している。

キャッシュフロー・クワドラント

  • Eはシステムのために働く
  • Sは本人がシステムとなって働く
  • Bはシステムを作り出したり、管理したりする
  • Iはシステムにお金を投資する

ESとBIの違い

ES BI
過程 勉強を頑張る ビジネスを立ち上げる
労働 自分が働く 自分以外が働く
時間 成功するほど忙しい 成功するほど自由
リスク 避ける 管理する

連鎖退職

連鎖退職 (日経プレミアシリーズ)

連鎖退職 (日経プレミアシリーズ)

  • 作者:山本 寛
  • 発売日: 2019/06/11
  • メディア: 新書

一人の退職をきっかけに退職者が相次ぐ「連鎖退職」のきっかけや対処について、実際に当事者にヒアリングし事例をまとめている。 原因や対応などは「まあそうだよね」という想像の範囲内だが事例が生々しくて面白い。 基本的には防ぐものとしながらも、連鎖退職により職場が良くなった(職場を混乱させる人が抜けた)という話もあり興味深い。

話の中で出てきた「組織市民行動」「組織阻害行動」の二次元モデルは使いやすそう。

怒りは他の感情と比べて驚くほど高い影響力を持ち、ネットワークの中で素早く広く伝わる
怒りの感情と上手に付き合い、振り回されないようにコントロールする技術=アンガーマネジメントが連鎖退職の防止に役立つ

連鎖退職とは

  • 連鎖退職は同調行動
    • 多数派の行動に合わせる情報的影響
    • 親密な人の行動に合わせる規範的影響
  • 連鎖退職のパターンは2つ
    • ドミノ倒し型 - やめた人の業務量が残った人の負担に。ベンチャーで起こりやすい
    • 蟻の一穴型 - 退職をきっかけに問題が顕在化(評価、コンプライアンス等)。大企業で起こりやすい

連鎖退職のきっかけ

  • 業績や職場環境の悪化
  • 組織体質や処遇の不満
  • 優秀な社員や同期の退職、引き抜き
  • 希望退職やリストラ
  • 事業譲渡や経営者の交代

連鎖退職の対策

対策はヒアリングでこういうのがあると良かった、あって良かったという話ぽいのでエビデンスはなし。

  • 採用前の詳細な説明・情報提供 - 思っていたのと違うを防ぐ
  • 採用基準自体の変更 - 業務内容と適性をあわせる
  • 定期的な配置転換 - マンネリ化を防ぐ
  • 報酬・評価に関する方針 - 成果主義が良いかは賛否あり
  • 残業・長時間労働の削減 - 疲弊を防ぐ、ただし一律対応は逆に手足を縛るかも
  • 福利厚生(ワークライフバランス) - 平時の対応として
  • キャリア形成支援(メンター等) - 継続的なケア
  • ハイパフォーマー人材の定着 - 2割のコア人材に注力
  • 業務の改善 - せやな

言葉は現実化する 人生は、たった"ひと言"から動きはじめる

言葉は現実化する―人生は、たった"ひと言"から動きはじめる

言葉は現実化する―人生は、たった"ひと言"から動きはじめる

  • 作者:永松 茂久
  • 発売日: 2017/07/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

ナポレオン・ヒル思考は現実化する_アクション・マニュアルつき や、引き寄せの法則に近い本。 カラーバス効果などを例にあげ、夢を言葉にすることや良い言葉を使うことで、脳に思い込ませることができるよ、みたいなことが書いてある。

  • 潜在意識の特徴
    • 善悪を判断できずそのまま受け入れる(ので、否定的な言葉も思い込む)
    • 主語を認識しない(ので、他人に言った言葉も自分に帰ってくる)
    • 訂正するまで頭に残り続ける(ので、ふとしたときに思い出す)
    • 時間を認識できない(ので、未来のことも過去のことも今起きていると勘違いする

フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術

フィードバックの基本理論からノウハウ、事例紹介までが簡潔にまとまっている。 タイプ&シチュエーション別フィードバックに出てくるタイプが多種多様で、「あーいるいる」という感じで面白かった。

事例に紹介されていた「フィードバックの内容を部下に書いてもらう」ことで理解度を確認するというのは良さそう。

  • 育成は経験軸(ストレッチゾーン)とピープル軸(業務支援・内省支援・精神支援)で考える
  • フィードバック前にSBI情報(Situation, Behavior, Impact)を集める
  • フィードバックのチェックポイント
    • 相手としっかり向き合っているか
    • ロジカルに事実を通知できているか
    • 部下の反応を見ることができているか
    • 部下の立て直しをサポートできているか
    • 再発防止策をたてているか
  • 部下からのリアルな意見を引き出す「アシミレーション」
    • 登場人物:ファシリテーター、上司、部下
    • 上司は席を外し、ファシリテーターが部下から意見を引き出す
      • 上司について知っていること、続けてほしいこと、やってほしいこと、やめてほしいこと
    • 部下が席を外し、上司はファシリテーターから説明を受ける
    • 上司が部下に対して今後の方針を話す