しるの読書記録

読んだ本をただただ記録する

なぜ部下とうまくいかないのか 「自他変革」の発達心理学

成人発達理論の本。コーチと主人公の対話形式で、各発達段階の特徴や取り扱い方について説明している。 「発達段階はレベルとして表現されるが上下関係がない(上ほど良いわけではない)」というのはちょっとまだ理解できていない。

  • 人間は一生成長することができる
  • 性格は変わらないが、「意識構造」は変えることができる
    • 人間としての器、世界観の変化、レンズ、建物の階層(視座)などで例えられる
  • 人間は意味を構築することを宿命付けられた存在である by キーガン
  • 主体・客体理論
    • 人間の意識の成長・発達は「主体から客体へ以降する連続的なプロセスである」
    • 成長することで、過去の主体であった意識段階(レンズ)を新たな意識段階(レンズ)で客体として見ることができるよ、みたいな意味
  • 垂直的な成長と水平的な成長
    • 垂直的:意識の器の拡大、認識の枠組みの変化
    • 垂直的:知識やスキルの獲得

道具主義的段階 / 利己的段階

  • 成人人口の10%
  • 極めて自己中心的な認識の枠組みを持っている
    • 自分に関係のないものに興味を持たず、やりたくない仕事を引き受けない
    • 他人の立場に立って物事を考える力が不十分
    • 内省能力が十分になく、自分の感情を客観的に把握できない
  • 自分の視点から一歩離れた視点をとってもらうような問いを投げかける

他者依存段階 / 慣習的段階

  • 成人人口の70%
  • 相手の立場に立って物事を考えることができる
  • 組織や集団に従属し、他者に依存する形で意思決定をする
    • 自分独自の価値体系が十分に構築できていない
    • 情報を受動的に取り入れるが、それを組み合わせて新たな意味を構築する力が脆弱
  • 仕事の意味を考えさせ、自身の考えを表明してもらうような問いを投げかける

自己主導段階

  • 成人人口の20%弱
  • 自分なりの価値体系や意思決定基準を持つことができる
  • 自律性が強すぎて、他者の意見を無視する
    • 自分の価値体系や成功体験に縛られる
    • 自分の価値観と異なる考えや意見を受け入れることができない
    • 自己成長に強い関心を持つ
  • 自分の意見と自分は別ものだという認識を持ってもらうような問いを投げかける

自己変革・相互発達段階

  • 成人人口の1%未満
  • 自分の価値観にとらわれず、多様な価値観・意見をとりいれ的確に意思決定できる
    • 深い内省による破壊と再生、開放感と柔軟性
    • 他人の成長を支えることは、他人は自分の成長を支えてくれていることと等しい

最高の結果を出すKPIマネジメント

リクルートの社内勉強会で11年間KPIや数字に関する講義をされていた方の著書。 自分は結構できているほうだと思っていたけれど、まだまだ改善の余地はありそうだった。

KPI事例も多く掲載されていて、営業や採用、広報のようなビジネスのものや、ダイエットや健康のような身近なものまであった。

  • KPIマネジメントと数値マネジメントは違う
  • KPIはCSF(Critical Success Factor)を表現する1つの分かりやすい定数であるのがよい
    • 分母が変数だとハックができてしまう
  • 分かりやすいCSFは当たり前にも見えるので時間をかけて出すのに躊躇してしまう
  • KPIの改善サイクルを早く回すことを心がける
  • ジュニアはTTP(徹底的にパクり)、シニアはTTPS(徹底的にパクリ進化させる)
  • 分母分子に影響を与える項目は目安を決める(顧客獲得単価のように)

KPIの立て方

ダメダメKPI

作り方

  1. 指標の抽出 - 出せるデータを集めてみる
  2. 指標の決定 - とりあえずこれを定期的に見る
  3. 運用する - とりあえずやってみる
  4. 目標の決定 - なんとなく目標を決めてみる
  5. 数値悪化 - (指標がおかしいんじゃないの?)
  6. 対策検討 - 時間もない、自信もない

  • たくさんの数値目標を設定している
  • 現場でコントロールできない数字を設定している
  • 先行指標ではなく遅行指標を設定している

イケてるKPI

  1. KGIの確認
  2. ギャップの確認
  3. プロセスの確認 - 数式としてモデル化
  4. 絞り込み - CSFの設定
    • 定数と変数を分ける
    • 変数を達成するステップを分解しCSFを決める
  5. 目標設定
  6. 運用の確認
    • 整合性 - KPIを達成したらKGIは達成するか
    • 安定性 - KPIがリアルタイムに取得可能か
    • 単純性 - メンバー全員が理解できるか
  7. 対策の事前検討 - KPI悪化時の対策と有効性の事前検討
    • 時期・程度・施策・決済者
  8. コンセンサス - 関係者との合意
  9. 運用
  10. 継続的に改善

チーム・ジャーニー 逆境を超える、変化に強いチームをつくりあげるまで

カイゼン・ジャーニーの続編(と言ってもストーリーがクロスするだけで単体で読める)。 カイゼン・ジャーニーと同じく広く浅くという感じだけど、チームの色々な状況が自分の過去の経験と重なる部分もあって、楽しく読めた。

ドラッカー風エクササイズのB面はやってみたい。

結局このチームは、ただひたすらタスクを片付けているだけなのだ。
個々人の仕事は個々人のもの。そして、個々人の学びも個々人のものでしかない。
特に、チームとしてのミッションや目標の設定がないため、個々人が来た球(タスク)を打ち返すのを繰り返しているだけ。
まるで到達感のない開発だった。
俺たちはなぜここにいるのか?
スクラムをやるためか、それともプロダクトを世の中に届けるためか?
  • 誰が始めるのか?それは気付いた人だ
  • 立ち上げ時に向き合う3つの問い
    1. 個人としてのWhy - 自分はなぜここにいるのか?
    2. チームとしてのWhy - 私たちは何をするものなのか?
    3. チームとしてのHow - そのために何を大事にするのか?
  • 向き直りをするときの3つの問い(は順番を入れ替える)
    1. チームとしてのWhy - 私たちは何をするものなのか?
    2. チームとしてのHow - そのために何を大事にするのか?
    3. 個人としてのWhy - 自分はなぜここにいるのか?
  • ドラッカー風エクササイズのB面
    • 自分は何が不得意なのか
    • どういう風に仕事をしてしまうか(他人からも言われていること)
    • 自分の地雷はなにか
    • 昔チームメンバーの期待に応えられなかった事件とは
  • 透明性を高め、チームの共通理解を深める3つの原則
    • 見える化 - 情報を得られるようにする(ただし情報感度が低い人の透明性は高まらない)
    • 場づくり - 情報を伝え合うようにする(ただし表面的な理解で済んでしまうことがある)
    • 一緒にやる - 情報を一緒に作る(ただし時間がかかる)

カイゼン・ジャーニー たった1人からはじめて、『越境』するチームをつくるまで

ストーリー仕立てでカイゼン、とくにアジャイル開発のプラクティスについて解説している。

良くも悪くも広く浅くという感じで、まだ関連知識を学習していない人にとっては、新しい気付きを得られる一方で、ある程度体系的にそして経験的に学んでいる人にとっては、物足りないものになりそう。

開発の後半でインセプションデッキや星取表を作るなど、 気づいたときが始めどき、遅すぎることはない というメッセージはとても良かった。

SCRUMMASTER THE BOOK 優れたスクラムマスターになるための極意

すでにスクラムマスターとしてある程度の経験を積んだ人が自分のやり方を見直したり、スクラムチームの状態を評価するのにちょうど良さそう。

自分自身、ここうまくできていなかったなとか、こういうところ忘れていたなというところがあった。

  • スクラムマスターの目標はチームを自己組織化すること
  • サーバントリーダーとしてのスクラムマスター
    • 傾聴 / 共感 / 関係性の修復 / 意識と自覚 / 説得 / 概念化 / 先見性 / スチュワードシップ / 他人の成長への献身 / コミュニティの構築 *メタスキル
    • ティーチング / 傾聴 / 好奇心 / 尊敬 / 遊び心 / 忍耐
  • コンピタンス
  • 機能不全
    • 信頼の欠如 / 衝突への恐怖 / コミットメントの不足 / 説明責任の回避 / 結果への無関心
  • チームの毒
    • 避難する / 守りの姿勢 / 壁を作る / 侮辱する
  • 『誰もが正しい、ただし部分的には。』
    • ひとつひとつの声に耳を傾け、シグナルを見逃さない

SCRUM BOOT CAMP THE BOOK スクラムチームではじめるアジャイル開発

2013年の本を2020年春に改定しており、ぎりぎりスクラムガイド2020版の情報は入っていない。

平易な文章と漫画で読みやすい。スクラムフレームワークだけでなく、なぜそうなっているのか、どういうところに気をつければ良いのかなど、初心者が気になるところがしっかりとフォローされている。 自分自身は認定スクラムマスターで新たに得られる情報はなかったが、これから勉強する人への伝え方など勉強になる点が多かった。

ちなみにこの本ではプランニングポーカーで全員一致まで続けるとあるけど、あるチームでやっていた2個以内の差なら意見は出しつつも平均点をストーリーポイントとするというのが個人的なおすすめ。

間取りの方程式

間取りの方程式

間取りの方程式

  • 作者:飯塚 豊
  • 発売日: 2014/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

間取りを設計する際にどのような点に気をつけて考える必要があるか、どのようなパターンがあるかがまとまった本。 間取りはこうやって考えられているんだなとか、この間取りはこういう意図で作られているんだなとか今後家を見るときに楽しくなりそう。