新たに経営企画室に配属された主人公がコンサルタントのアドバイスを受けながら、会社を立て直していくビジネス小説。 会社の文化を作ることと、PDCAを回すことの大切さが書かれている。
- 組織論は分業のための方法論
- 主要担当業務の範囲を明示することが組織のはじまり
- 企画とは、目的を明確にし、現状を把握したうえで、目標達成のための意味合いを抽出し、成功のための仮説を立て、実行案を組み立てる一連の動作
- 皆が智慧を使って進める経費低減活動は、基本的には会社の文化にすべき
- 人事制度を健全に運営するためには、上長によるマネジメントが極めて重要
問題解決の思考ステップ
- 現状把握
- 真因の追求(問題発見、問題提議)
- 解の方向性
- 具体策の比較検討
- 実行計画の明示
経費の三分類
- 使ったことによる効果を知るべき経費
- 減らしてはいけない経費
- 例外的な『ポリシーコスト』
- 直近の効能を説明できないが、責任者の意思や勘として、未来のことを考えて使っておきたい経費
気に入ったところ
本来重要なのは、失敗を称賛する文化づくりだ。失敗することがいいわけじゃない。 失敗から多くのことを学べるという事実を会社が受け入れるということだ。 それを規模が大きくなってもちゃんとやり続けるようにしないといけないということだ。 経営というのは、正しい企業文化づくりでもある。
筋の通った資料を作成するためには、書き方の作法の訓練が必要なのだが、 そういう能力は、ちゃんと訓練する者がいてはじめて、社内で鍛えられる。 略 マネジメント層がちゃんと部下に、『こう書くんだ』という常識を教えていく文化をつくらなければいけない
そもそも号令をかけると、使う経費が減るなんて、おかしいと思わないか? 本当にそれで下がるなら、単にマネジメントが会社の管理レベルが甘いままで放置していたという話だろ? そこで、経費が下がるというのは、効能があいまいな、使わなくてもいい経費を使うのをやめたか、 『来期に回しておけ』などと先延ばしにしたか、あるいは、本来必要な経費を削減したなんて言うことだろう。
だいたい、悪循環にはまるパターンというのは、押し付けられた高い売上と利益計画があって、それが達成されずに経費が締め付けられる。 それによって様々な社内の業務が崩れはじめて、現場がおかしくなりはじめる。 それが毎年毎年繰り返され、本来打つべき中長期的な打ちてがすべて先送りになっていく。
人は弱さを持っている、誰だってそうさ。うまく戒めていかないと、エネルギー、つまり欲望の強い人ほど暴走してしまうものだ。 これを上手に制御すること、これが人事制度運用の基本にすべき思想だ