チーム内の読書会の今月のテーマがファシリテーションだったので読んだ。
エンジニア向けに書かれた本で、製品開発が例にあげられているけれども、書かれているファシリテーションの内容はエンジニアに限らない。
著者は、ファシリテーションの効果を、「話し合いのスピードを高め」「シナジーを生み出す」とし、エンジニアリング・ファシリテーションの大きな特徴として、以下の3つをあげている。
- 主体性や創造性を引き出せる心のメンテナンスを行う
- 技術の問題の根本的解決に役立つ問題解決技法を用いる
- 望ましい行動がおのずと継続するフィードバックを行う
会議の成功条件
5つの成功条件をあげている。
アジェンダの例では60分の会議のうち15分ぐらいを会議の準備(アイスブレイクや目的・目標の確認)に使っていて、やっぱりそのぐらい必要だよなあと思いつつ、1/4も使うのに躊躇してしまう部分もあって悩ましい。
- アジェンダを作成する
- 話し合いの目的・目標が達成される
- 進行予定・時間配分が守られる
- 役割(ファシリテーター・グラフィッカー・タイムキーパー・プレゼンター)を果たせる
- 議論の内容をホワイトボードに描く
- 話し合いの基本ルールが守られる
- 意見の違いを認める
- 否定的な発言をしない
- 発言内容と人を分けて考える
- 権力のある人・多数意見にひきずられない
- チームの言動に即座に対応する
- 心のメンテナンスをする
3章から6章は、会議の種類ごとに事例をあげてフレームワークの紹介をしている。
最終判断の前に目的と目標を再確認し、議論の過程で目的を見失っていないか確認するのは良さそうだった。
- 合意形成
- シールアンケート法
- 意思決定マトリクス法
- メリット・デメリット法
- ペイオフ・マトリクス法
- 問題解決(課題達成型)
- 適合する場面
- いままで経験したことのない新しい業務の場合
- 新しいやり方の導入が必要となる場合
- 新しいシステムを効率的に使いたい場合
- ツール
- 問題解決(問題解決型)
- 適合する場面
- なかなか解決できない慢性的な問題
- 挑戦的な高い目標を設定した問題
- 原因のよくわからない問題
- プロセス
- 目的・目標設定・問題設定・原因分析・仮設立案・解決策想像・解決策評価・行動計画作成
- ツール
- 特定要因図
- 4M+E(Material, Man, Method, Machine, Environment)
- なぜなぜ分析
- ペイオフマトリクス
- ロジックツリー
- ガントチャート
- 戦略の立案
- 発明的問題解決
- 発明原理TRIZ(トゥリーズ)
- 分割原理 - いくつかに分割してみたらどうか
- 先取り作用原理 - 前もって準備したらどうか
- 逆発想の原理 - 構成や動作を逆にしたらどうか
- ダイナミックス原理 - ダイナミックスなものに変えたらどうなるか
- 周期的作用原理 - 周期的な動作にしたらどうか
- 災い転じて福となす原理 - 欠点・弱点を逆に活かせないか
- セルフサービス原理 - それ自体が目的動作を行えないか
- パラメータ変更原理 - パラメータを変えたらどうか
- ...全部で40個あるが8つ紹介されている
- ふりかえり
日々の基盤づくり
紹介されているアイスブレイクはやはりオフライン想定なので今参考にできるものは少なかった。
フィードバックの注意点で書かれた「行動を変えるかどうかはその人が決める」はそのとおりなので気をつけたい。
- 全面的な信頼感とビジョンの共有が自発性を促す
- フィードバックにより望ましくない行動を弱化し、望ましい行動を強化する(行動科学)
- 効果的なフィードバックの方法
- 相手と対等の立場をとる
- 事実と強みを伝える
- 解決策ではなくよい質問を
- フィードバックの注意点
- 相手が自分のちからで変えられる行動を取り上げる
- 指摘することはできるかぎり早く伝える
- 行動を変えるかどうかはその人が決める